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「オカメ桜」の名前の由来とチェリー・イングラムの話

エッセイ
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「梅の花を見に行く」というのは、私の中では優先度の高いイベントだった。

花見といえば桜のイメージがあるけど、少し寒い空気感の中で見る梅の花が好きだった。

2月後半に入ったあたりから「そろそろ梅が咲く時期だなぁ」と頭の片隅で考え始め、3月中旬の今頃になると「やばい、梅の見頃が終わってしまう!」と焦り始めるのがいつもの流れ。

今日はそんな焦りから、梅の花が見られるという近所の公園に散歩がてら行ってみることにした。

この記事の内容
  • オカメ桜の名前の由来
  • コリングウッド・イングラムについて
  • オカメ桜の花言葉
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公園にて

公園に到着すると、日曜のお昼過ぎということもあって、子どもたちが遊んでいたり、サッカーやテニスをする若者たちでにぎわっていた。

この公園に来るのは初めてではなかったけど、けっこう敷地面積が広くて、どこに梅があるのか分からなかった。

まぁ、歩いているうちに見つかればいいやと思い、そのまま公園内をぶらついていた。

すると、遠くの方にピンク色をした樹があるのを見つけた。

あれがそうか?と思って、その場所を目指して歩いていく。

そしてたどり着いたのは、綺麗なピンク色の花をつけた樹が数本並ぶ、少し開けた場所だった。ベンチも置かれており、そこに腰かけて休んでいる人もいる。

恥ずかしながら、植物にぜんぜん詳しくない私は、花を見ただけではそれが梅か桜かどうか区別がつかない。でも、今の時期で桜はまだ早いんじゃないか……。

そう思いながらも、こういった公園には必ず設置されている花の解説が書かれたプレートを探し、ピンク色の花の名前を確認した。

オカメ桜

オカメって、あの「おかめ」のことか……と、白塗りの女性のお面を思い浮かべながら、咲いている花を上から見上げてみる。

オカメ桜(デジカメで撮影)

オカメ桜の花の色は、一般的にイメージする桜よりも濃いピンク色であるが、こういうのを「淡い紅色」と表現するらしい。

花は小振りで下向きについており、中心から出ている雌しべ、雄しべとよく目が合った。

淡い紅色をした、小振りで俯きがちな早咲きの桜。

そう聞くとなんとなく「オカメ桜」という名前も似つかわしく感じられる。

オカメ桜の名前の由来

帰宅後にネットで「オカメ桜」について調べてみると、次のようにあった。

オカメザクラ(オカメ、Prunus incamp cv. Okame)はバラ科サクラ属の落葉小低木でサクラの園芸品種である。

淡い紅色の一重咲き。花が下を向いているのが特徴である。早咲きで花期は2月下旬から3月上旬ごろ。地域によるがソメイヨシノより早くに開花する。

オカメザクラ – Wikipedia

上の引用にある一重咲ひとえざき」とは、花弁が重なり合っていない状態をいうらしい。逆に、幾重にも重なっている状態のものは八重咲やえざき」という。

そして意外なことに、オカメ桜はイギリス生まれらしい参考)。つまり、外国産の品種ということだ。

イギリスの桜研究者であるコリングウッド・イングラム(Collingwood “Cherry” Ingram)が、カンヒザクラ(台湾桜)とマメザクラ(富士桜)を交配し、オカメ桜を作出した。

こちらの記事によると、オカメ桜の名前の詳細な由来までは書かれていなかったが、イングラム氏はこの花について、エレガントな形と飾り気のない美しさに目を向ける全ての人に喜ばれるだろうと言っていたらしい1

現代の「おかめ」という言葉は、古来の「美人」という意味からかけ離れてしまたたところはあるが、イングラム氏にとっては「日本の古風な女性」というイメージがあったのかもしれない。ちなみに、オカメ桜の花言葉はしとやか、高尚だそうだ(参考)。

まとめ

思えば今日は、ちょっとした散歩気分で過ごしていた中で、まさか「オカメ桜」をきっかけに、イギリスの”チェリー”イングラムという人物について知ることになるとは思っていなかった。

今まで「オカメ桜」という名前こそ知らなかったが、きっとこれまでに何回も、春が訪れる度に目にしたことはあったと思う。

視界に入ったものをただ受け流すのではなく、そこに少しの好奇心を持ち合わせることで、新しい世界が見えてくることもある。

今日はいい勉強になったなと、心地よい疲労感と満足感に浸る。でも何か大切なことを忘れているような……。

あ、梅の花見れてない!!

注釈

  1. こちらの記事の引用を参考にさせていただきました。以下はその該当部分です。 ↩︎

Ingram named his creation Okame, after a Japanese goddess of good fortune and mirth. Its flowers bloomed each March, at the midpoint between the blossoming of the Taiwan and Fuji cherries. Each tree was bedecked in countless little petals, like stars in the night sky. Each bloom was tiny and delicate, taking after the maternal Fuji cherry. But each was also tinted a light pink by the mix of the two parents’ shades. Better still, the sepals that supported the petals were a deep vibrant pink. Ingram said the flower would ‘be appreciated by all who have an eye for elegance of form and unpretentious beauty.’ He was ecstatic. ‘The offspring of this union has more than fulfilled my expectations,’ he wrote.

Mystery of Okame origin solved | U.S. Japanese Gardens

ちなみに上記の文章は、こちらの書籍(Naoko Abe (2020) “‘Cherry’ Ingram: The Englishman Who Saved Japan’s Blossoms”)の引用の一部となっています。