私は最初、書店にある簿記のテキストを手に取って絶望しました。
図や色がたくさん使われていて、易しい言葉で説明が書かれているのですが、全然理解できませんでした。
内容がまったく頭に入ってこない……
しかし、その後で偶然出会った簿記の本がとても分かりやすく、「簿記ってこういうことだったのか!」と再び興味を持つことができました。
そこで今回は、一度勉強を諦めかけた私がオススメする簿記3級の教材4冊をご紹介します。
簿記3級のおすすめ教材4冊
今回ご紹介する簿記3級のオススメ教材一覧はこちらです。
それぞれを詳しくご紹介していきます。
『簿記がわかってしまう魔法の書』
『簿記がわかってしまう魔法の書』は、経営学・会計学の専門家が書いた初心者向けの本です。
簿記をまったく勉強したことのない方に、まず一番最初に手に取っていただきたい本です。
冒頭で私が「偶然出会った本」として紹介したのが、実はこちらの本です。
この本を読んだおかげで、簿記の仕組みがいかに巧妙で面白いものかを知ることができました。本書の素晴らしい点は以下の通りです。
- 少年と魔法使いの対話形式でわかりやすい
- 「なぜ簿記が重要なのか?」がきちんと説明されている
- 取引の「お金」が「豆」で説明されているので、イメージしやすい
専門家の方が書かれている本ということで、簿記の本質がとても分かりやすく説明されています。
本書のあとがきに、私が読んでいて感動した文章があるので一部引用させていただきます。
簿記のしくみは素晴らしく巧妙です。複雑な出来事を簡潔に記録できるからです。
詩人のゲーテは簿記のことを、「人間の精神が産んだ最高の発明の1つ」といったそうです。少しいいすぎかもしれませんが、本当によくできています。そんな簿記ですが、挫折する人は多いのです。はじめて勉強するときは、簡潔どころか、とても難しいと感じるのではないでしょうか。恥ずかしながら、私も昔、挫折しました。そんな私が、かつての挫折した私に向けて、この本を書きました。
『簿記がわかってしまう魔法の書』小沢 浩「あとがき この本の特徴」
「簿記の勉強は面白くない」「仕訳は丸暗記するしかない」と思っている方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
『脳科学×仕訳集 日商簿記3級 第4版』
『脳科学×仕訳集 日商簿記3級 第4版』は、簿記3級レベルの仕訳を理解・暗記するための仕訳集です。
簿記の全体的な説明より、仕訳を重点的に対策したいという方にオススメです。
本書のコンセプトとして、簿記の学習を「脳科学的に合理的」に行うことを目指しています。
なんといっても「シンプル・見やすい・内容が整理されている」の3点が、私が本書を選んだポイントです。具体的には以下の通りです。
- 二色刷りでシンプル。余計な色がなく目と脳にやさしい
- 仕訳の例題が1ページに1問書かれてあるので見やすい
- たまに書かれている補足情報やコラムが面白い!
私が行った勉強では、まず最初に「勘定科目の一覧」の内容を全部暗記して、その後の例題を1つずつ解いていきました。
勘定科目の暗記は大変でしたが、それを乗り越えると後はパズルのように仕訳問題が解けるようになるので、理系の方はやっていて楽しいと思います。
また、本書のページの下の方に書かれてあるコラムや補足説明も、読んでいてとても面白かったです。簿記の問題を解くコツや電卓の使い方、実務でも使える情報などが書かれてあり、資格を取った後も役に立つ知識でした。
(前略)折角この本を選んでいただいた皆さんに、なんとか『実際に使える知識を提供したい』と思っての、コラムです。頭の片隅に残しておいていただければ有難いです。
『脳科学×仕訳集 日商簿記3級 第4版』桑原 知之「コラム 商業は金額で、製造業は率で判断すべし」
簿記の勉強は孤独を感じるものですが、著者の方の熱意に私は励まされました。
『みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商3級 商業簿記 第11版』
『みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商3級 商業簿記 第11版』は、本番レベルの問題の対策と3回分の模試が入った問題集です1。
仕訳を理解した後に、本番レベルの問題を解いて実力をつけたいという方にオススメです。
『脳科学×仕訳集 日商簿記3級 第4版』を一通り勉強することで、仕訳問題は問題なく解けるようになりますが、簿記3級では帳簿や財務諸表の問題も出題されます。
こちらの問題集に取り組むことで、一通り試験範囲をカバーすることができます。
『みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第11版』
『みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第11版』は、上で紹介した問題集と対になる簿記初心者向けのテキストです2。
全体的にカラフルで図やイラストやも多く、楽しく簿記の勉強をやりたいという方にオススメです。
私は最初に本書を購入して勉強を進めていましたが、かなり情報量が多いため、途中で挫折してしまいました。
なので、計画を変更して、まず『脳科学×仕訳集 日商簿記3級 第4版』で仕訳を完璧にした後に本書を読むと、かなり理解できるようになっていました。
解説が詳しく図解も多いので、参考書として活用するのが個人的に一番合っていました。
おまけ 試験で使った電卓【CASIO 12桁デスクサイズ電卓 DF-120VB-N】
おまけとして、試験で私が実際に使った電卓をご紹介します。
こちらの電卓は、12桁表示で「%」ボタンもあり、試験に必要な機能が全てそろっています。
試験に使う電卓を選ぶときに大事なのは、「余計な機能が付いていない電卓を選ぶこと」です。
高度な計算が可能な関数電卓や、売価計算・原価計算の式が記憶されているものは試験で「持ち込み不可」なので、きちんと確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、おすすめの簿記3級の教材4冊をご紹介しました。
実は、私は一度、簿記3級の試験に落ちています(以下の記事参照)。
日商簿記3級の合格率は、商工会議所のデータ(統一試験)から計算すると、全体の平均合格率は41%でした。つまり、10人中4人が合格するような試験です。
私の場合は、仕訳問題以外の試験対策をおろそかにしてしまったことが、不合格の原因でした。
書店には、「すぐにわかる」「一発でわかる」と銘打った簿記の入門書がたくさんあります(この本もそうです)。簡単にわかる本がたくさん出版されているという事実は、簿記が簡単にはわからないことを逆説的に証明しているといえます。
この本も、まだ不十分かもしれません。しかし、この本の試みによって、少しでも多くの人の簿記に対する苦手意識が克服されることを願ってやみません。
『簿記がわかってしまう魔法の書』小沢 浩「あとがき この本の特徴」
『簿記がわかってしまう魔法の書』の著者の方もおっしゃる通り、書店にはいろんな教材が売られており、その内容は千差万別です。
テキストを読んで理解できなくても、必ずしも自分が悪いとは限りません。きっとテキストと自分の相性の問題なのだと思います。
もしこの記事が、少しでも皆さんの教材選びの参考になれば幸いです。
注釈
- 実際に私が使用していたのは『みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商3級 商業簿記 第10版』です。最新版の11版が出ているようなので、今回はそちらをご紹介しています。 ↩︎
- こちらも同様に、実際に私が使用していたのは『みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第10版』です。今回は最新版の11版をご紹介しています。 ↩︎